サーモスタットって?

サーモスタット(thermostat)は温度自動調節器と申します。

一番身近にありますのが、電気コタツがある程度熱くなるとカチッと消えるのも、サーモスタットの役目であります。

これは非常に便利なもので、もしこの世にサーモスタットがなかったら、電気コタツはスイッチをいれると熱くなるばかりで、火傷をする前に誰かがコンセントを抜かなくてはなりません。(^^ゞ

エアコンやら冷蔵庫など熱・温度に関するものの制御には、ほぼこのような部品が活躍しています。

電気のON・OFFで簡単な構造のものは、熱膨張率(温度による体積増加比率)の大きく違う金属を2枚張り合わせた板状のものに、スイッチを接触させておいて、温度変化でその板が曲がるとスイッチが入ったり、切れたりする精度の悪いものから、コンピューターで熱によるセンサーの電気的抵抗をモニターするものまで、さまざまなサーモスタットがございます。

車やバイクにもこの手の電気的なサーモスタットが多数使用されています。
ここでは車のことは複雑すぎるので省きますが、わが愛機でありますGSX1400にも、エンジンオイルの温度が120度ほどになると、自動的にオイルクーラーファンが回る単純なサーモスタットがエンジンの右下に刺さっています。


普通バイクには、空冷エンジンと水冷エンジンがあることは、バイク乗りであれば知っていると思います。

エンジンは内縁期間・・・いや内燃機関と申しまして、機械の内側で得た熱エネルギーを機械的仕事に変換させる装置でございまして、当然中で火が燃えるわけですから冷やさないと壊れてしまいます。

空冷エンジンは空気でエンジンを冷却するタイプで、水冷は水(正確には凍りにくく沸騰しにくいい薬品)で冷却するタイプです。
水冷機関は液冷式機関とも言いまして、水を主に用いる水冷式が多いのですが、航空機などでは沸点の高いエチレングリコール溶液を使用するそうです。

それではGSX1400に話を戻しましょう。
スズキが今から約20年も前に、空冷でもない水冷でもないエンジンの形式認定を取得しました。
それはユレイ(油冷)という冷却方法でした。 ユウレイ(幽霊)ではありません。

当時小さなバイクはもちろん、大型バイクも空冷エンジンが主流でしたが、エンジン性能が飛躍的に向上し、馬力も上げられるようになってきました。

当然、馬力が高いと発熱も多く、そのために空気での冷却(走行風で冷やす)には限界が近づいていて、どうしても冷却効率がよい、水冷エンジン開発に各社が進んでいきました。

水冷エンジンは十分な冷却をエンジン内部で行え、また、エンジンを水が囲んでいるわけですから、シリンダーからのノイズも少なく、スムーズで静かなエンジンです。
部品点数が多くなり、電気的また機械的な温度制御(サーモスタット)が不可欠であること意外、パワーを出しやすく効率がよく静かなエンジンは申し分ないとも言えるのですが・・・。

スズキだけ油冷と言う、世界大戦中の飛行機のエンジンに採用されていた技術で、第3のエンジンを開発し、レース界で圧勝し世界の注目を浴びたのでした。

油冷とはまさに、あぶら(エンジンオイル)をエンジン部品の潤滑以外に積極的にエンジン冷却に利用するという画期的な発想であり、空冷より冷却性能を高め、さらに水冷より装着部品数や水を利用しないための重量軽減に大きく貢献した、すばらしい冷却方法だったのです。

それに個人的なことになりますが、ノッペリした水冷エンジンに私は美しい機械美を感じませんし、静かなエンジンは乗用車を連想してしまい、生きた馬の躍動感が伝わってこない。
私のような機械フリークを満足させるのが、この油冷エンジンだったのです。

この油冷エンジンは、空冷エンジンのように冷却フィンが付いていて、エンジンとしても造型が美しく、空冷ほど空気による冷却に頼らない分、エンジンフィンを小さくそして間隔をつめることができます。

その為に、空冷エンジンのようなフィン鳴き(エンジンフィンが振動に共鳴してでる不快なノイズ)が少なく、でもエンジン本体からの爆発音がスポイルされないで生き生きしていて、また躍動感が伝わりやすい。
こんなすばらしいGSXR系のエンジンを継承し、さらに油冷エンジンの荒削りな部分を消し去らないで、どんな気候や条件でも、味のあるエンジン回転出力を提供するために、電子燃料噴射とECU(エンジンコントロールユニット)コンピューターを装着して2001年にGSX1400がデビューしたのです。

あ~長かった。 おっとサーモスタットでしたっけ(^^ゞ

そこで、GSX1400ですがそんなECUでの制御のおかげで、まずセル一発でエンジンは始動。
そして、エンジンが冷えていても、オーバーヒート気味でも安定したエンジンフィールを味わえます。 

ただし、雨や走行風が冷たいとサーモスタットで水温を管理している水冷とは違い、冷え過ぎます。
水冷で言うラジエターの代わりになりオイルを冷却するオイルクーラーが大きく、温度自動調節器を持たない油冷エンジンはオーバークール(エンジンが冷えすぎ)に陥るのです。

オーバークールはオーバーヒートほどではないにしろ、エンジンに取ってはあまり好ましいことではありません。
オーバークール状態では、エンジンの油温センサーはECUに濃い混合気を要求しますので、燃費が若干悪くなることと、ガソリンと空気がシリンダーで爆発したときに水分が発生し、ピストンの隙間から必ずクランクケース内に入り込み水となり、それが蒸発しないでエンジンオイルと混ざり合います。

私のGSX1400はエアークリーナーを取っ払っていますので、エンジンクランクケースからのブリーザーパイプをオイルキャッチタンクに引っ張っています。
そのパイプはエンジンが十分に熱くなると水滴が中にポツポツ付着します。

そのことからもわかるように、エンジンオイルには水分が混入しています。
その水分はご存知のように100℃にならないと、エンジンから出て行きません。

多くのGSX1400オーナーの方々は、冬場50℃前後、夏でも始動して80℃に上がるまで、かなり長い時間が必要なのはご存知かと思います。
本当はエンジンが冷えているときはGSX1400の大容量オイルクーラーにオイルを回してさらに冷やす必要は無いのです。

この冬の最初にアルミ板を買ってきて、オイルクーラーにフタをしましたが、手動サーモスタットはいちいち走行中にバイク止めて操作することもできず、失敗でした。
わかばんは人間です。 失敗も当然あります(-_-;)

やっと本題のサーモスタット登場です(^^ゞ
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岩手県にあるメーカーWorks Izumiを以前から気にしていました。
4輪用ラジエターやサーモ系部品などを作っている工場ですが、GSX1400ともなればバイク専用より安い四輪用部品も装着可能なのです。

これがオイルライン用サーモスタットです。

原理は先に述べたように、冷たいオイルは通さずに、熱いオイルはバルブが開いて通過できるようになっています。

GSX1400のオイルクーラーへの配管はラッキーなことに部分的にゴムでできています。
その配管(オイルフイルターの上くらいの部分)にこれを挟み込みますと、油温約70度まではオイルクーラーにオイルを通さず、この部分でエンジンに戻してしまいます。

そうすると、オイルクーラーにはオイルが回らないので、エンジンは暖まりやすくなります。

70度を超えると、サーモスタットのバルブが開き、熱いエンジンオイルオイルクーラーを経由してエンジンに戻ります。 つまり冷却されます。

これを自動的に行ってくれるのです。(^^ゞ

ではどんな内部構造になっているのか・・・ 興味ありませんか?
機械フリークな私はこのような部品の動きを実際見てみたくなるのです。 そこで・・
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このサーモスタットについているオイルの通路4つと油圧・油温計センサー取り付け口2つすべての部品を取り去って、沸騰したお湯につけてみることにしました。
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向かって右側のオイル通路のバルブが閉じている状態です。
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100℃のお湯に漬けるとすぐにバルブがゆっくり動き出しました。
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お湯から上げてみると、少しずつバルブが閉じてゆきます。

成功です!(^^)

当たり前か(^^ゞ

すぐにでも取り付けたいのですが、オイルクーラーラインを外すとなると、オイルが漏れます。
エンジンオイルはMOTULいれてまだ2000Km走行。

あと1000Km走ってオイル交換するときに、取り付けますね(^^ゞ
では取り付け奮闘記にご期待ください。

「あんた! キッチンでなに水遊びしてんねん?」
「イヤ、これはサーモスタットゆうてな~」
「サーモスタットかサービスモットーかしらんけど、あした子供保育園に送っておくんやろ~」
「はいはい、はよ寝ますがな」(-_-;)
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Commented by ENO at 2006-04-07 01:06 x
あ、コレとっても興味あります。継続レポよろしくです。

しかし「油冷」ってSUZUKIだけの専売って感じだけど
ポルシェ911(Type-996以前)のボクサー6気筒も
「油冷」って言われるときありますよね。昔のダイムラーベンツの
航空機エンジンも同じです。これらは単にOIL系統が「ドライサンプ」で
OILタンクを持ちクーラーで冷えたオイルをジャブジャブかけて
いるだけだったりする気がします。SUZUKIの様にノズルで高圧噴射して
熱境界層を剥離して冷却を促す程ではないと思うのですがどうなのかな・・・。
Commented by hary at 2006-04-07 01:48 x
私も効果的な部品と思います。
しかし・・・流動抵抗は問題無い?
抵抗増えて常時油圧上がりっ放しなのに流量減とか・・
Z系では良く見るパーツだから杞憂かな?
是非人柱レポートお願いしますm(_ _)m(爆)
Commented by wakaban0925 at 2006-04-07 01:56
ENOさんGSX1400が発売された頃乗っていたBMWR1150Rが空油冷と言われていたのを思い出しました(。・_・。)ノ
このサーモ本体は思ったより大きく重いので、エキパイとエンジンブロックの間にフィットするか? と、しっかり取り付けできるかがハードルっす。
(^^ゞ
Commented by wakaban0925 at 2006-04-07 12:05
haryさん
流動抵抗はあると思いますが、四輪用なのでバイク用サーモスタットより内径が太く、安心はしています。

オイルポンプからのオイルクーラーへのラインとシリンダーヘッドへのラインは別なので、オイルクーラーラインに流動抵抗がでたらシリンダー側に送油が多くなるので、いいかもしれません。
ただ、オイルクーラーの冷却効率が落ちるかもです(^^ゞ

これから夏場にかけて検証できますので、レポートまかしておいてください!(^^ゞ
Commented by エルモ at 2006-04-08 01:27 x
オイルの管理って難しいんですね~気にもしてなかった(^_^;
レポート楽しみにしてます。
最近気になるのが...アクセル全閉付近-自分ではアクセルの遊びの範疇じゃん!と思えます-の僅かな動きでもエンジンが反応するのを
何とかしたいなと。まぁ慣れもあるんでしょうけどね~
Commented by wakaban0925 at 2006-04-08 10:58
エルモさんの1400はまだノーマルでしょうか?
自分の場合もアクセル全閉付近と2500回転前後の定速走行のギクシャクで悩みました。(チェーンがのた打ち回っていました(^^ゞ)
・スパークプラグをイリジュムにする。
・社外マフラーにする。
・スロットルボディーの同調を取る。
・サブコンで気になる回転域を薄くまたは濃くする。
で完全に解決!(^^)
新車でも同調がずれていたので、まずこれからですね!
by wakaban0925 | 2006-04-07 00:00 | わかばんの簡単講座・その他 | Comments(6)

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