念願のゴールドインナーチューブ
2009年 10月 04日
会長が実施要綱の説明をし、メンバーで詳細確認をしました。 生産終了後、リターンバイカーに人気が上がっているように見えるGSX1400ですが、オーナー同士の新しい出会いやネットワークが広がればいいですね。
このようなメーカーの、それも作り手の話をじかに聴けるチャンスなんて最高ですね。 わかばんブログもGSX1400普及に貢献していると言ってくれますが、このようなイベントがGSX1400を長く乗り続けてくれる機会になればうれしいです。
参加表明されていない方。 是非この機会に集まってください。
当日は、簡易な手書き用ニックネーム名札を配布する予定です。 オフ会ではありませんが、お互いの交流にお役立て頂けると思います。
【念願のゴールドインナーチューブ完成】
バイク乗りにとって、加速減速以上に乗り味は重要な要素と思います。 とりわけフロントフォークは進行方向を決める以上に、路面をタイヤが常に捕らえる装置であり、路面の状況をライダーに伝える最も重要なセンサーでもあるかもしれません。
実際走行時のフロントフォークはとても細かく路面の動きを追従しているようです。
もし、路面の状況をあまり伝えないスプリングだけフロントフォークの場合。 一度入力された路面の凹凸が、スプリングで吸収されずに、ポヨンポヨン跳ねることで、前輪が路面の状態について行けない状況になると想像できますし、前輪がグリップを失ったり、スライドしたりして、走れたものではないでしょう。
逆に、路面の状態を100%ライダーに伝える(ショックが無い状態)では、乗り味が悪い以上に苦痛を感じるどころか体に悪影響が出るかもしれませんし、これもバイクが飛び跳ねて走れたものではないでしょうね。
フロントフォークはリヤショックより遥かに乗り味や操舵、バイク自体の特性に大きな影響を及ぼす装置と思います。
メーカーとしては、軽いライダーからデブの二人乗りまで、あらゆる状況と生産コストとのバランスを考慮して、皆に購入してもらえる乗り物を作るのが企業として正しいのですから、自分一人にそのバイクの特性が合っているかは微妙な部分と言えるかも知れません。
私のようなダブルメタボで体脂肪率が40%台、エレベーターの定員は2人前と計算しなくてはいけないライダーと、優秀な成績で人間ドッグをクリアーするライダーでは、フロントフォークに求める仕事内容も大きく変わるのです。
ですから、当然レートの高い欧米で売られているスプリングは、自分の体に合うのは最初から想像つきましたし、実際強化スプリングは大正解! とても乗りやすいバイクになりました。
ただ、体重やライダーの個性に関係なく、乗り味に影響があるのがフリクションと言われるものです。
フリクションはロスとも言えるもので、エンジンや駆動系で言うと、与えられたエネルギーを損失してしまう要因なので、メーカーに取っても燃費や出力に大きく影響がでることですから、とても重要な事ですし、産業界全体では環境にもかかわることです。 エンジンでは軸出力と後輪出力は約20%も違うそうです。
その損失は、クラッチ・ミッションそしてチェーンとギアのフリクションでエネルギーが摩擦熱としてリークしているからです。 チェーンのメンテしっかりしていない方! カスタムチューンよりメンテの効果が大きいですよ。
フロントショックに話を戻しましょう。
ショックのフリクションはエネルギーの損失という点では駆動系と共通するところです。
「ショックはタイヤからの衝撃をエネルギーに替えて吸収する装置だから、フリクションじゃ?」
と思われた方、かなり深いです。
フロントショックのフリクションと性能をたとえるのに、パソコンのキーボードがいいでしょう。
皆さんもお使いのキーボード。
高級なキーボードはさすが研究されていて、キーを押し込むのにも高級感を感じることが出来ます。
キーを確実に押したことが指先から伝わってくるし、静かだし、変な感触(フリクション)がないです。
しかし、安いキーボードは変な引っかかりや、安っぽい軽さがあり、高級感はありません。 仕組みや素材とフリクションが絡み合っているのでしょう。 キーボードのキーと人間の指で押された力をキーの下のスプリングと通電性のゴムが、フロントショックで言う、スプリングとダンパーの役目をしているのかも知れません。
高級なキーボードはそれ以外のフリクションを極力無くして、短いストロークながら軽く確実に押し込めて、押した感触のフィードバックがきれいに指に帰ってきます。 人間にとって都合の良い抵抗は高級感につながり、都合の悪い摩擦はフリクションとなり、安物と感じる。
そうしておきましょう。
そんな思いで手に入れたゴールドインナーチューブ。 フリクションについてはハッキリ申し上げられませんが、インナーチューブへのダイヤモンドコート加工は、実際フリクション低減を謳っていますので、そのほうが確実でしょう。
しかし、お金さえ出せば出来ることをしない。 そんな自分ですから、他人に迷惑をかけながらハードな道を選ぶことになったのです。
輸入にはリスクがあります。 個人輸入物には付き物のGSX1400専用と表記していながら、実際は加工が必要だったりするケースがほとんど。 今回イギリスから取り寄せたインナーチューブ。 インナーチューブエンドが完成していないものでした。
本来カシメてブッシュがエンドに組み込まれて、SUZUKIの純正部品としてパーツリストに載っている右のインナーチューブと違い。 カシメる前のチューブにコーティングしたものが届きました。
言わば、スズキに納められる前の段階のローマテリアルです。
一度これで組み込んで見ましたが、フォークがすっぽ抜ける危険があります。
ハイカムでお世話になった、バイク用品メーカーに明るいRSタイチさんも調べてくれましたが、どうもカシメ作業は旋盤でするようで、直径46mmのGSXのチューブを固定するものが無いとの返事。
半分あきらめかけて、ぶら下がり健康器具か物干し竿になろうとしていた時、以前ミーティングでもらった名刺を思い出し、机の中をゴソゴソしてたら、出てきました! サスペンションメーカーさん。 サスを作っている会社なので、問題クリアー。 特別に生産終了していた部品も在庫調べてくれて、カシメも完璧に。 ご迷惑お掛けしました。
まず、ダンパーやプリロードを最弱に変更します。
ダンパーは分解後にフォークオイルも交換するので、エアー抜きをしやすいように。 プリロードはスプリングを圧縮して、フォークキャップをはめやすいように。
抜けが悪いときに、インナーチューブを前後左右に振ると、傷の原因になります。 トップから軽く叩き出すのも良いと思います。
ダンパーを抜き取ってからインナーチューブが外せます。 抜き取りにはフォークのボトムにあるナットとダンパーユニットに噛ませる特殊工具を使用します。
特殊工具の先を固定できるように工夫します。 通常2人で作業しますが、わかばんガレージのクレーンを利用。
こうなれば、インナーチューブはオイルシールのクリップを細いドライバーで外すとスポットと抜けます。
オイルシールは前回OHしてからそんなに走っていないので使い回しです。 もちろんチューブの先にサランラップ巻いて、しっかりフォークオイルを塗布していれました。
エアー抜きして油面を調整して組み込み開始です。
最初入れすぎるくらいで、TOPブリッジより5cmほど突き出します。
その後、アンダーブラケットとTOPブリッジでインナーチューブを固定する部分のシリコンを、パーツクリーナーできれいにふき取り、規定の高さまで突き出しを戻します。
そうすることで、傷を最小限に留めることが出来ます。 心配していました、ゴールドのコートの剥がれは皆無でした。 逆にアルミのブリッジやブラケットの方がやわらかいので、心配いりません。
一人で約4時間の作業でしたが、無事終了。
初走行は、全国ミーティングになりますね。