無事帰ってきた男!
2006年 03月 19日
前夜の冷たい雨で、路面はまだところどころ濡れていた。
実家のバイクまでたどり着き、先日ワックスをかけてピカピカのタンクを軽く撫ぜる。
「今日はお前を試す日さ。 がんばれよ!」GSX1400NOSはうなだれている。
しかし、すぐにもとの静寂に戻った。
エンジン回りやNOSラインを一回りして、ガス漏れが無いか確認する。
気温はたぶん一桁だろう。
NOSのガスプレッシャーゲージは600psi強を指している。
NOS運転には約900psi必要とされている。
5lb用ボトルヒーターを2lbボトルに巻きつけてある。
すぐ暖まりそうだが、消費電力をどれだけエンジンがカバーできるかも、試運転の目的でもある。
予想通りの大迫力である。
パージは、エンジン直前の電磁バルブまで、ナイトロアスオキサイドガスを通しておくことにより、NOSをONにしたときのタイムロスを切り詰める役割があるが、街中ではただの無駄なパフォーマンスである。
室内でパージしたので、目が回ってきた。
脳みそがかるく心地よく締めつけられる感覚が残る。(@_@。
最後にタイヤの空気圧調整とオイルをチェーンになじませて、GSX1400NOSを外に連れ出す。
アンメーターがアイドリングでも10A強マイナスに振れる。
これは、ボトルヒーターにエンジンオルタネーターでは供給不十分な電流をバッテリーが補完していることを示す。
しかし、ボトルが約30℃ほどになるとサーモスタットでリレーが切断され、バッテリチャージのほうへ針が向かう。
おそらくバッテリーは大丈夫であろう。
高速入り口まで約30分弱。 たまにNOSプレッシャーを覗き込むと、750psiと少しづつ圧力を増している。
しかし、まだ規定の900psiには達していない。
今のところ、エンジンも車体も、配線の束をフロントにつなげたステアリングも問題は無い。
阪和自動車道貝塚インターから、北に1つのインターを走る試運転の始まりである。
路面は完全に乾燥していない。
NOSの強大なパワーでスリップするかも・・・。 と頭の中で声がこだまする。
車が多い。 大阪市内に向けて走行しているのに追い越し車線も車間が少ない。
「おっ車線が空いたぞ!」
NOSを起動するホーンボタンに左親指を乗せて、アクセルをオープンする。
「まずい! カーブだ!」
押せない。
結構加速したので140は超えている。 しかし他の車が遅く危険である。
「よし! もう一度」
走行車線から、追い越し車線に飛び出て、あえてトップギヤーでアクセルをワイドに開ける。
100Kmトップでの加速は、GSX1400は少しけだるいものがあるが、NOSによってその加速がどんなに強烈になるのか、それが楽しみである。
「吉幾三!」ちがう 「よし!」
「あっ!だめた。 車間が短すぎる!」
「おっと! もう出口だ・・・」
結局NOSをONにできなかった・・・(-_-;)
料金所でお金を払いながら、嫌悪感に浸る。
【再チャレンジ!】
ここでNOSを試さなければ男ではない! と、阪和自動車動を和歌山方面にUターンし、再び料金所から南行き車線に入る。
「こんどこそ!」
「OK! いくど~!!」
「またカーブかいな・・・」
よく考えてみた。 阪和自動車道は直線がほぼないことに今頃気がつく。(>_<)
「次の600Rで行くか~!」
「よし! 今だ。」
「ぷ~~~」とホーンが鳴った。
先ほどの料金所でアーミングスイッチをOFFにしていた(^^ゞ
気を取り直して「アーミングスイッチON!」「プレッシャ900psi」
時速100Kmトップギヤー。
「ON!!」
緩やかなカーブに「シュー」という音と「キーン」というジェットエンジンのような音を響かせて、約2秒ほどのタイムラグの後に、まるで2サイクルのパワーバンドのような加速が始まる。
ドッカン! ではなかった。 最小のジェットをノズルにセットしているので、約36HPアップのはずである。 A/Fメーターは12対1。 フル加速にしてはちょっと薄いか?
見る見る前の車が近づいてくる。 ホーンボタンをリリースするが、まだスロットルの反応が過敏である。 おそらく残留ガスの影響であろう。
気が付くと、関空連絡道路の表示。 「おっ! そうだ! 関空に向かい阪神高速で岸和田にもどろう。」
関空連絡道路は空いていた。
ローからNOSを使ってみようかと思った。
しかし、ホーンボタンを押しながらクラッチレバー操作ができない! 仕方ないので、5速でON。
当然ギヤーが低いと加速はもっと強烈である。
しかし、GSX1400はECUコントロールのセカンダリースロットルバルブの開度がゆったりのようで、キビキビはしない。
今日の試験走行は大成功!! としよう。
次回ボタンを押さないで、自動的にエンジン回転数とスロットル開度でONにできるワイドバンドコマンダーをプログラムし、セカンダリースロットルバルブを取り外すのも有効かもしれない。
試験走行後のNOSボトルの重さは5.53lb。
規定ではこれが通常満タン状態だが・・。
チャージしてくれたショップが確か7lb以上入れてくれていたことを考えると。
「おいおい! すでに2lb消費かよ~」それって約800gのNOSを消費したことに。
4回NOSを10秒ほどと、サージを一回で約3000円??
これがNOSが普及しない要因であるかも(-_-;)
しっかし! 今まで聞いたことのない加速音と恐怖ではないが「おぃおぃどこまで加速するの」という加速感はお値打ちもの。
普及するといいな!